風を受けて走るのは気持ちがいい!

最近休日は家で本ばかり読んでいたせいか、体がなまってしまった。ということで久しぶりに白井一成、ジョギングに。どこを走ろうかと考えた。皇居もいいけど、そこまで行かずとも近所にとってもいいジョギングコースがある。代沢緑道だ。

とにかく緑が多い。緑の中を走るのは気持ちがいい。さわやかな風を受けて、叫び出したいくらいに気持ちがよかった。桜の季節になるとまた違った魅力がある。薄桃色の桜の中を走るのはロマンチック、とでも言うのだろうか。桜の季節はもちろん、秋など、外を散歩するのがいい季節になると、人も多い気がする。白井一成のように、このあたりはジョギングをしている人も多い。

そういえば、最近は特にジョギングしている人が増えた気がする。走っている人の服装につい目が行ってしますが、みんなカッコいい。マラソン選手みたいだ。ウェストポーチなどの小物もオシャレの一部、というように、決まっている。そういえば知り合いに、運動はまず形から、というヤツがいた。その気持ちも分かる。やる気がないときなど、ウエアを新調すると、グッとやる気が出るものだ。

ジョギングの話に戻ろう。走っている人たちは、服装だけではなく、走り方も様になっている。女性も男性もだ。夫婦やカップルで走っているケースも多い。健康には気を遣っているのだろう、というより、運動が好きだから走っている、という感じもする。毎日走ってるんだろうな、そういう人たちは。だからカタチも様になっていくのかも。

これは自分も負けていられない。しかし、ジョギングをした次の日に筋肉痛になってしまった。運動不足このうえない。しかもちょっと張り切りすぎた。やっぱり定期的に走らないとダメだ、と実感した白井一成だった。

もっと白井一成について知りたい人は▷▷▷白井一成(@shiraikazunari)さん | Twitter

恩田陸「蜜蜂と遠雷」に感動

白井一成は音楽は好きだ。主に聴くのは洋楽だが、今回この本を読んで、クラシックもいいかもしれない、なんて思ってしまった。恩田陸の「蜜蜂と遠雷」。白井一成はピアノを弾かない。音楽は大好きだが、クラシックは聴かない。この本は才能を持つ4人のピアニストたちの話だ。コンクールに出て、自分の才能をぶつけ合いながら成長をしていく、というストーリー。

登場人物は天才と呼ばれるマサル、母の死後ピアノを弾いていない亜夜、楽器店勤務の明石、そして音楽の勉強などしたこともなく、養蜂の仕事をしている塵。登場人物たちの背景設定もおもしろい。このさまざまな背景を持つ人物がどのようにかかわり、どのような音楽を繰り広げるのか、展開が楽しみでグイグイと物語の中に引き込まれる。

バッハ、ショパン、ブラームスなど音楽の授業で習った作曲家たちの音楽を身近に感じる。中学校の音楽室に、作曲家たちの写真のようなイラストが貼ってあったことは覚えているが、彼らの曲にはあまり興味がなかった。それなのに、この本を読んでいると、すごくよく分かるのだ。その音楽の魅力が。音がするわけでもないのに、映画感で音楽を聴いているわけでもないのに、音楽が聴こえてくる。

感動的な本だった。多くの人がそう言っている。白井一成も心からそう思った。音楽に対する彼らの情熱がひしひしと感じられる。こんなにも音楽を、ピアノを人は愛することができるのか、と思えるほど、強い思いが伝わってくる。音楽に対する価値観の違いはあっても、4人の登場人物が音楽とピアノが大好き、ということが伝わってきて、気持ちがいい。登場人物一人ひとりがとても魅力的で、彼らの発する言葉や行動を、何度も読み返す、ということを繰り返しながら読み進んだ本だ。

小川洋子「博士の愛した数式」に心がホロリ

ちょっと白井一成には似合わないかもしれないが、とても好きな本がある。小川洋子「博士の愛した数式」だ。映画かドラマになったと記憶している。だから知っている人も多いだろう。確か、博士役が寺尾聰で、「私」役が深津絵里だった。ほのぼのとした幸せを感じられる。ただし、最後は切ない。

舞台は瀬戸内海に面した小さな街。「私」は64歳の元数学の大学講師の家で家政婦として働くことになる。博士は47歳のとき交通事故にあい、80分しか記憶をとどめることができない。雇い主は博士の義姉。

博士は常に背広を着てネクタイをしめている。毎朝「私」に「君の靴のサイズはいくつかね?」と聞く。博士のスーツにはたくさんのメモがクリップで留められていて、メモには数字や記号が書いてある。そしてその中には「僕の記憶は80分しかもたない」というメモも。悲しいシーンだ。それほど涙もろくない白井一成だが、ここで少しだけ心がシンとした。そしてそのメモの中に「新しい家政婦さん」というメモが増える。似顔絵まで書いてある。さらに、「私」に10歳の息子がいることを知った博士は、子どもを一人にしておいてはいけない、と一緒に連れてくるように言う。

博士のあたたかさが心に沁みる。そして “数学”が展開される3人の不思議な日常。息子は博士にルートと呼ばれる。博士はルートに宿題を出す。それを発表すると、博士は立ち上がって「すばらしい!」と拍手をする。博士との会話の中で、心を成長させる「私」。「私」と一緒に読者も成長する気がした。

白井一成の読む本の中に、小川洋子はなかった。女性の友達に紹介されて何となく読んだ本だった。それがこんなにステキな本だったとは。思いもかけず、心があたたまり、そして忘れられない本になった。なんか、小川洋子さんの本を読みたくなった。

不思議な海の生物の写真集に驚き

『ウミウシ』という生物をご存知だろうか?白井一成は知らなかった。その写真集を見るまでは。白井一成は自らすすんで水族館などに行く方ではない。猫や犬は嫌いではないし、水族館なども嫌いではないが、特にものすごく好きということはない。繰り返すが、決して生き物は嫌いではない。しかし、ウミウシ、という生き物は知らなかった。

ウミウシというのは、元は貝がついていたが、貝殻が退化した生き物。巻貝の仲間だということだ。ウミウシというのは牛のように角が2本あるからそう呼ばれているそうだ。大きさは数mmから20~30cm程度。世界中の海にいる。

このウミウシの写真集があったのだ。なんとなくキレイな表紙だったので、手に取ったのだが、白井一成、こんなに驚いたのは久しぶりだ。形もさまざま、大きさもいろいろ。そして何より、その鮮やかな色彩に驚いた。ピンク、緑、青、黄色、黒、などの色がある。ピンクの体にオレンジの触覚、青い体に黄色のライン、黄色の水玉模様など、まるで何かのデザインのようだ。形もさまざま。見ていて飽きない生き物だ。

さらに面白いのが名前だ。コンペイトウウミウシ、いちごミルクウミウシ、イチゴジャムウミウシ、ブッシュドノエルウミウシなどもいる。形がそのままネーミングされているようだ。このウミウシの種類は世界でなんと3000種類。名前もついていないウミウシがいて、さらに発見は続いているそうだ。すごい。

美しく、気持ち悪い(失礼)、謎の生物・ウミウシ。中には毒を持つものもいるという。海の中にはまだまだ不思議な生き物がいるようだ。非常に美しい写真集だったのだが、買わずにお店を出た。しかし、さまざまなウミウシが、頭の中でグルグルと回っている。

読めば読むほど味が出る池波正太郎「男の作法」

品の良さ、というのはどこからくるのだろう?高級ブランドの服や靴を身に着けていても、品良く見えることはあるが、品格を感じるというのは違う気がする。特別、白井一成に品があると思っていないが、20代も半ばを過ぎ、人間の品格、というものを考える。なんて言っているのは、池波正太郎の「男の作法」を改めて読み返しているからだ。

池波正太郎の「男の作法」は何度読んでもおもしろい。白井一成のお気に入りの一冊だ。おもしろいといっても、腹を抱えて笑ってしまう、というおもしろさではない。鬼平犯科帳のような、ストーリーの展開に期待してワクワクするというおもしろさでもない。読んでいると、自分が品のある大人になっていくような気がする、という楽しさだ。

“作法”といっても読んで覚えるという難しいことは書いていない。天ぷらは揚げたてをすぐに食べる、鮨や天ぷらは料理がメインなのだから酒を飲み過ぎない(飲み過ぎると味が分からなくなる)、といった内容。ご飯はおいしく、出されたら冷めないうちにすぐに食べる、ということだ。おいしい料理を目の前にして、グダグダと話をしていたら、せっかくの料理が冷めてしまう。お店の人にとっても失礼だ。

これなら、白井一成にもできる。高級料理店に常に行くわけではないから、詳しいマナーや立ち回りなどは詳しくない。紳士として完璧にふるまえるか、といったらそれは無理。しかし、料理をおいしく食べるということはできる。後輩を前に、うんちくを言うほど雑学王ではないから(悲しいかな)、料理が出たら「よし、食おう」と言って食べる自分が目に浮かぶ。

本に書いてあるのはそれだけではない。お店の選び方や初めて行く店で失敗しない方法、万年筆で手紙を書くことの良さなど、いろいろな作法が書いてある。読めば読むほど楽しい本だ。